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国からお金を借りる方法。制度の内容や条件を詳しく解説

国からお金を借りる方法。制度の内容や条件を詳しく解説

就職できなくて収入がない、新型コロナウイルスが原因で失業して家賃が払えないなど、お金がなくて困ってしまったときには、国からお金を借りることが可能です。

国からお金を借りる方法は、生活福祉資金貸付制度のほか、求職者支援資金融資や母子父子婦福祉資金貸付金制度、日本政策金融公庫の一般貸付などがあります。

国からお金を借りられる制度について解説するほか、返済できない場合はどうなるのか、また対処法についてもお伝えします。

ただし、国からお金を借りる際、即日で借りることができません。お金を急ぎで借りられるカードローンもあわせて紹介します。

次のようなお悩みや疑問をお持ちの方はぜひ参考にしてください。

  • 国からお金を借りる方法やその条件は?個人で借りられる?
  • 市役所からお金を借りる方法が知りたい
  • ブラックリストに載ってる無職でも国からお金を借りることはできる?審査は?

詳しくご紹介します。

国からお金を借りる制度の対象や内容を把握して適した制度を選ぶ

新型コロナウイルスの影響で失業したり、仕事が減ってしまったりした際にも、国からお金を借りることができました。新型コロナウイルスとは関係なく、生活困窮などの状況になってしまった場合、国からお金を借りることができます。

種類 対象
生活福祉資金貸付制度
  • 総合支援資金
  • 福祉資金
  • 教育支援資金
  • 不動産担保型生活資金
低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯
一般貸付 中小企業
教育一般貸付 対象となる学校に入学・在学する保護者(世帯年収により上限額あり)
求職者支援資金融資 職業訓練中の人
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度 20歳未満の児童を扶養している配偶者のない人、また寡婦など

国からお金を借りる主な方法はさまざまです。申込条件や借りられる金額、金利などを確認し、自分に適した制度を選びましょう。

以下、それぞれの制度の詳細を解説します。

生活に困っているときに国からお金を借りるなら生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付は以下の対象者が、国からお金を借りることができる制度です。

  • 必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者世帯」
  • 障害者手帳などの交付を受けた人が属する「障害者世帯」
  • 65歳以上の高齢者が属する「高齢者世帯」

引用元:政府広報オンライン 1 生活福祉資金貸付制度とは

低所得者、高齢者、障害者の生活を援助すると同時に、生活を立て直す支援をするのが目的です。借りられる資金は、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4種類です。

「総合支援資金」には、生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費があります。

種類 貸付限度額 利子 保証人
生活支援費 2人以上:月20万円以内、単身:月15万円以内 保証人なし:年15% 原則必要(なしでも可)
住宅入居費 40万円以内 保証人なし:年15% 原則必要(なしでも可)
一時生活再建費 60万円以内 保証人なし:年15% 原則必要(なしでも可)

離職している場合は、最初にハローワークへの求職申込と職業相談をしなければなりません。また、原則住居がないと申し込みできないため、住まいがない場合は、住居確保給付金の相談が必要です。このような条件をクリアできないと、お金を借りることはできません。

審査は都道府県の社会福祉協議会で行われます。通過できれば口座に振込まれますが、どれくらいで振り込まれるかは地域によって異なります。

目安としては、総合支援資金は都道府県の社会福祉協議会で書類を受理した後1ヵ月程度です。

申込方法(相談窓口) 住んでいる地域の市区町村社会福祉協議会
必要書類
  • 総合支援資金の借り入れ申込書
  • 健康保険証および住民票のコピー
  • 世帯状況を証明できる書類
  • 連帯保証人の資力を証明できる書類
  • 求職活動など自立に向けた取り組みが証明できる計画書 など

「福祉資金」には、福祉費、緊急小口資金があります。

種類 貸付限度額 利子 保証人
福祉費 580万円以内 保証人なし:年15% 原則必要(なしでも可)
緊急小口資金 10万円以内 無利子 不要

福祉費は主に、介護サービスや福祉用具の購入、住宅の増改築などのほか、障害者用の自動車の購入、災害を受けた際に必要な経費などに充てることが可能です。

緊急小口資金は、一時的に生活が困窮した際に借りられるものです。災害にあって生活費が足りなくなった、公共料金が払えず日常生活に支障が出る、などといった場合に利用できます。

緊急で一時的に生活が困難であり、10万円を借りたあとは自分で生活できること、また借りたお金を返せると判断されなければお金を借りるのは厳しいでしょう。

審査通過後、送金までには1週間~10日程度で指定口座に送金されます。

申込方法(相談窓口) 住んでいる地域の市区町村社会福祉協議会
必要書類
  • 借入申込書
  • 住民票のコピー
  • 健康保険証または顔写真つきの本人確認書類
  • 申込者の世帯の収入を証明する書類
  • 借入理由を確認できる書類 など

※福祉費を申請する場合は、店舗の改修見積書や介護サービスの利用票、福祉用具購入費用が確認できる書類など、目的ごとの添付書類が必要です。

「教育支援資金」には、教育支援費と就学支度費があります。

種類 貸付限度額 利子 保証人
教育支援費 月3.5万円~6.5万円 無利子 不要(世帯内で連帯借受人は必要)
就学支度費 50万円以内 無利子 不要(世帯内で連帯借受人は必要)

教育支援金は修学先によって以下のように限度額が決まっています。

  • 高校:月3.5万円以内
  • 高専:月6万円以内
  • 短大:月6万円以内
  • 大学:月6.5万円以内

必要と認められれば、それぞれ上限額の1.5倍まで貸してもらえることもあります。

申請前には、民生委員が自宅を訪問し面接を行います。また、申し込みから借りられるまで約1ヵ月程度かかります。

申込方法(相談窓口) 住んでいる地域の市区町村社会福祉協議会
必要書類
  • 借入申込書
  • 住民票のコピー
  • 借入申込者の世帯の収入を証明する書類
  • 学校に関する書類 など

「不動産担保型生活資金」には、不動産担保型生活資金と要保護世帯向け不動産担保型生活資金があります。

種類 貸付限度額 利子 保証人
不動産担保型生活資金 土地評価額の約70%、もしくは月30万円以内 年3%または長期プライムレートのいずれか低い方 必要
要保護世帯向け不動産担保型生活資金 土地及び建物評価額の約70%もしくは生活扶助額の1.5倍以内 年3%または長期プライムレートのいずれか低い方 不要

不動産担保型生活資金は、現在住んでいる土地や建物を担保として、国からお金を借りるものです。対象は低所得の高齢者。原則、土地の評価額は1,500万円以上の一戸建てが対象となります。

不動産の状況によっては借りられないことも。また、申込から貸付金交付までは最短6ヵ月程度かかります。

申込方法(相談窓口) 住んでいる地域の市区町村社会福祉協議会
必要書類
  • 世帯全員の区市町村民税非課税証明書
  • 不動産の登記簿謄本
  • 不動産の公図
  • 不動産の固定資産評価証明書もしくは固定資産税課税明細書 など

一般貸付は法人に限らず個人事業主でも国からお金を借りることができる

会社を運営する際の資金や、事業に必要な設備投資などに必要なお金を国から借りることのできる制度です。日本政策金融公庫の小・中規模の会社向けで、多くの業種が利用可能です。法人に限らず、個人事業主でも国からお金を借りることができます。

目的 限度額 利率 担保や保証人
運転資金 4,800万円 基準利率 要相談
設備資金 4,800万円 基準利率 要相談
特定設備資金 7,200万円 基準利率 要相談

利率は返す期間や担保の有無によって決まりますが、おおよそ1~2%前後と低利です。

一般貸付は個人・法人に関係なく、事業内容の将来性や綿密な事業計画、自己資金、経験値などを踏まえて判断されます。内容によって返せないと判断されれば国からお金を借りることはできません。

また、国からお金を借りるには、信用性も重要。個人信用情報などにローンの返済遅延など返済能力が疑われるような情報はマイナスになります。

一般貸付も即日というわけにはいきません。余裕を持って申し込みをしましょう。

申込方法(相談窓口) 日本政策金融公庫
必要書類
  • 借入申込書
  • 事業計画書
  • 月収収支計画書
  • 企業概要
  • 設備投資計画書
  • 資金繰り表
  • 経営状況を示す書類 など

教育一般貸付なら家庭の状況に応じた金利で国からお金を借りることができる

教育一般貸付(国の教育ローン)は、一定の要件を満たすことで柔軟な借入金額や金利で国からお金を借りることができます。用途も幅広く、さまざまな学校や勉強の目的に対応している点もメリット。学生生活を不自由なく過ごさせることが可能です。

固定金利 限度額 保証人
1.95% 350万円(一定の要件に該当する場合は450万円) 連帯保証人の必要なし

対象は、国からお金を借りる目的の学校に入学する、もしくは在学している方の保護者で、生計を維持している方です。さらに、世帯年収が、子ども1人の場合は790万円以下3人の場合は990万円以下など、世帯年収の上限額が決まっています。

高校や高専、短大、大学、大学院のほか、専門学校や各種学校、予備校、職業能力開発校など、国内だけでなく海外の学校にも対応可能。入学金や授業料、受験費用や借りる際にかかる保証料、アパート費用やパソコン費用などにも使えます。

貸金業者の学生ローンは総量規制があり、年収の3分の1までしか借りられませんが、大学院や海外留学など、目的によっては450万円まで借りられる可能性があります。
また、母子家庭や父子家庭、交通遺児家庭の場合、金利や保証料が優遇されるのもメリットです。

収入や借入状況、住宅ローンなどの返済状況などを踏まえて判断されます。ローンなどを返せていないなどといったことがあれば、お金を借りるのは厳しくなる可能性もあります。

結果が出て振り込まれるまでには、20日程度はかかります。特に合格発表の時期は申し込みが多く、手続きにも時間がかかるため、必要時期の2~3ヵ月前に申し込んだ方が安心です。

申込方法(相談窓口) 日本政策金融公庫
必要書類
  • 借入申込書
  • 住民票のコピーまたは住民票記載事項証明書
  • 運転免許証またはパスポート
  • 源泉徴収票または確定申告書の控え
  • 支払い状況がわかるもの(預金通帳や領収書など)
  • 合格を確認できる書類(入学資金のみ)
  • 在学を確認できる書類(在学資金のみ) など

職業訓練中生活費に困ったときに利用できる求職者支援資金融資

求職者支援資金融資は、職業訓練中に国からお金をもらう給付金だけでは生活費が足りないなどの場合に、国からお金を借りることのできる制度です。

対象は以下の通りです。

  • 求職者支援制度で職業訓練受講給金の支給が決定している
  • ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けている

求職者支援資金融資の概要は以下のような内容です。

限度額 利率 保証人
月額5万円または10万円×受講予定訓練月数 年3.0% 保証人・担保人不要

上限額は配偶者など家族の有無によって異なります。もし、訓練を途中で辞めた場合は契約変更の手続きが必要です。1ヵ月以内に手続きをしないと、残りのお金を一括で返さなければなりません。

審査はハローワークが指定する労働金庫が行います。金融機関として、返す意思や借りる理由が適当かどうかを判断しますので、誰でも借りられるわけではありません。

借りられることが決まれば一括で労働金庫の口座に振り込まれますが、申請してから即日というわけにはいかないので、早めに検討した方がよいでしょう。

申込方法(相談窓口) ハローワーク
必要書類
  • 求職者支援資金融資要件確認書
  • 職業訓練樹上給付金の支給を証明する書類 など

いろいろな用途に利用できる母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

母子家庭、父子家庭、寡婦を対象とした制度で、以下の12種類があります。

種類 使用目的 限度額
事業開始資金 事業を始めるにあたり必要な設備などの購入 326万円(団体489万円)
事業継続資金 現在の事業を続けるために必要なものの購入・運転 163万円
修学資金 学校の授業料や書籍代など
  • 高校、専修学校:5万2千5百円
  • 高等専門学校:5万2千5百円~11万5千円
  • 専修学校(専門課程):12万6千5百円
  • 短期大学:13万1千円
  • 大学:14万6千円
  • 大学院(修士課程):13万2千円
  • 大学院(博士課程):18万3千円
  • 専修学校(一般課程):5万2千五百円

※以上月額の費用

技能習得資金 事業を始めたり就職したりするための知識技能を習得 一般(月額)6万8千円、特別(一括)81万6千円、運転免許46万円
修業資金 事業を始めたり就職したりするための知識技能を習得 (月額)6万8千円、(特別)46万円
就職支度資金 就職のために必要なものを購入 一般:10万5千円、特別(自動車購入):34万円
医療介護資金 医療や介護を受けるため 医療:34万円~48万円、介護:50万円
生活資金 知識技能を勉強している、医療を受けているなどの間、母子・父子家庭になって7年未満の人の生活をサポート 一般(月額)10万8千円、技能(月額)14万1千円
住宅資金 住宅の建設、購入、補修、増・改築 150万円~200万円
転宅資金 住まいを移転し賃借にかかる費用 26万円
就学支度資金 就学・修業に必要な被服の購入など
  • 小学校:6万4千3百円
  • 中学校:8万1千円
  • 国公立高校等 16万円
  • 修業施設:28万2千円
  • 私立高校等:42万円
  • 国公立大学・短大・大学院等:42万円
  • 私立大学・短大等:59万円
結婚資金 20歳以上の子どもの結婚費用 31万円

原則、利率は保証人有の場合は無利子、保証人無の場合は年1.0%です。

審査に通りやすくするには、きちんと返せることを証明することです。

申請者の返済能力、連帯保証人を立てる場合は連帯保証人の保証能力を重点的に審査します。

引用元:横浜市 貸付けの手続き

また、母子家庭や父子家庭など対象であることはもちろん、母子家庭や父子家庭であっても現在の収入で十分と判断されればお金は借りられません。貸付が決定し支払われるまで2~3ヵ月かかります。余裕を持って申し込みをしましょう。

申込方法(相談窓口) 最寄りの地方公共団体の福祉担当窓口
必要書類
  • 申請書、借用書、請求書
  • 源泉徴収票または確定申告書のコピー
  • 戸籍謄本または戸籍全部事項証明書

即日融資など急いでいるなら消費者金融カードローンを検討する

国からお金をかりる際、借りられるまでには時間がかかります。長いと数ヵ月かかる場合も。緊急を要する場合は、最短即日で借りられるカードローンを検討してみましょう。

公的融資と比べると金利は高くなりますが、スピード重視の場合は検討をおすすめします。

種類 特徴
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アコム 30日間の金利0円サービスあり。最短30分での借入も可能です。返す期日が35日ごとと毎月指定日から選べるのも便利です。

国からお金を借りる際もきちんと返さなければならない

生活に困っているときのサポートとして国からお金を借りるのだから、返さなくてもよいだろうと思っている人もいるかもしれません。しかし、それは間違いです。国からお金を借りる際も、他の借入同様、きちんと返さなければなりません。

国からお金を借りるなら償還期限を守る

公的融資制度には、それぞれ償還期限(借りたお金を返す期限)が設けられています。国からお金を借りるのであり、国からお金をもらうわけではないので借りたお金は返さないといけません。

上記で紹介した国からお金を借りる制度の償還期限は以下の通りです。

総合支援資金 据置期間経過後10年以内
福祉費 据置期間経過後20年以内
緊急小口資金 据置期間経過後12月以内
教育支援資金 据置期間経過後20年以内
不動産担保型生活資金 据置期間終了時
一般貸付 5年~20年以内
教育一般貸付 18年以内
求職者支援資金融資 5年~10年
母子父子寡婦福祉資金貸付金 3年~20年

返済期限は長いものだと20年です。しかし短いものだと3年、5年以内に返さなければなりません。国からお金を借りる際には、無理なく返せる金額を申請することです。また、計画を立て、計画通りにきちんと返していきましょう。

お金を返さないと違約金や一括返済を求められる場合もある

国からお金を借りた際、返さないと督促の連絡が来るのはもちろんですが、遅延損害金や違約金などが発生します。返済が遅れれば、遅れるほど、支払わなければならないお金が増えてしまうということです。

また、返さないままにしておけば、一括で支払わなければならないことも。場合によっては、給料などの差し押さえなどが行われることもあります。

国からお金を借りて返さないままでいれば、信用情報機関にその情報が記録され、新規でカードローンやクレジットカードの契約ができなくなります。住宅ローンや車のローンも組めなくなる可能性が高いです。

返せない場合は早めに相談

国からお金を借りることができても、返せなくなることもあるでしょう。その場合は、早めに借りたところに相談することです。返せる期限や分割での支払いなど、相談にのってくれる可能性もあります。

相談は少しでも早い方がよいです。返さないまま放置しておくと「滞納を放置した」と思われるかもしれませんし、遅延損害金が増えてしまいます。

また、専門家に相談し債務整理を行うのも方法の一つです。全く返せそうにない場合は自己破産という手段もあります。自己破産をすれば、返済の義務を免除してもらうことは可能ですが、信用情報に金融事故として記録され、クレジットカードやローンの契約が5年~10年はできなくなります。

そういった方法もありますが、まずは借りたところに連絡をして返済に関する相談をすることをおすすめします。

国からお金を借りる際は無理なく返せる範囲で

国からお金を借りる方法は複数あります。それぞれ用途や条件、融資の上限、金利、保証人の有無などのほか、償還期限を確認し、目的や条件に適した方法を選びましょう。

公的融資は生活困窮者の措置ではありますが、無職の人は就職活動をしたり、就職のための技能を身につけたりするなど、仕事をして生活を立て直すことが求められます。そのため、返す意思がないと国からお金を借りることはできない、といった点を認識しておきましょう。

また、国からお金を借りられても返済が滞れば遅延損害金なども発生し、返す金額が増えてしまいます。そのようなことがないように、無理をしないで返せる金額を借りること。返すのが遅れそうな場合は、早めの相談が大切です。